公開日 2015年03月06日
更新日 2015年05月21日
水質管理目標設定項目の解説
水質管理目標設定項目1~30 (※項目4、6、7、11については欠番)
項目 | 目標値 | 解説 | 区分 | 主な使われ方 | |
1 | アンチモン及びその化合物 | 0.02mg/L以下 | 鉱山廃水、工場排水などの混入によって河川等で検出されることがあります。 | 無機物・重金属 | 半導体材料 |
2 | ウラン及びその化合物 |
0.002mg/L以下 (暫定) |
天然には花崗岩やその他種々の鉱床に広く存在します。 | 核燃料 | |
3 | ニッケル及びその化合物 | 0.02mg/L以下 | 自然界に遊離状態でみられることはありませんが、多くの塩類として存在する金属元素です。天然には硫黄、ひ素、アンチモンと結合して産出しますが、日本には採取に値するものはありません。 | 合金、メッキ | |
5 | 1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | 1,2-ジクロロエタンは、合成化学物質であり自然界には存在しません。大気中で光化学的酸化により分解されますが、地上の場合は土壌に吸収されず、地下水に移行し、数か月から数年残留し、地下水の汚濁物質の1つとしてよく知られます。 | 一般有機物 | 塩化ビニル原料 |
8 | トルエン | 0.4mg/L以下 | 石油やガソリンの成分として天然に存在します。 | 香料、火薬、ベンゼン原料 | |
9 | フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) |
0.1mg/L以下 |
プラスチックの可塑剤等に使用されている合成化学物質です。 | 化粧品、染料等の溶剤 | |
10 | 亜塩素酸 | 0.6mg/L以下 | 二酸化塩素の原料、または分解生成物です。 | 消毒副生成物 | |
12 | 二酸化塩素 | 0.6mg/L以下 | 浄水処理過程において主に酸化剤として使用します。 | 消毒剤 | |
13 | ジクロロアセトニトリル |
0.01mg/L以下 (暫定) |
水中にフミン質やその類似物質が存在すると、塩素処理により生成します。 | 消毒副生成物 | |
14 | 抱水クロラール |
0.02mg/L以下 (暫定) |
水道原水のフミン質と塩素の反応により生成します。 |
||
15 | 農薬類 | 検出値を目標値で割った値の和が1以下 | 殺虫剤・殺菌剤・除草剤等として水田、畑、ゴルフ場で使用され、水道原水中に混入する恐れがあります。120項目が選定されています。 | 農薬 | |
16 | 残留塩素 | 1mg/L以下 |
水中に塩素を注入することによって水中の残留した有効塩素をいい、次亜塩素酸などの遊離残留塩素とクロラミンのような結合残留塩素に区別されます。 水道法では衛生上の措置として給水の残留塩素を遊離残留塩素として0.1mg/L(結合塩素の場合は0.4mg/L)以上を保持するように規定されています。(水道法施行規則第17条の3) |
臭気 | |
17 |
カルシウム、マグネシウム等 (硬度) |
10mg/L以上 100mg/L以下 |
硬度とは、カルシウム、マグネシウムの合計量をいい、主に地質に起因します。硬度の低すぎる水は淡白でコクのない味がすると言われています。硬度の高すぎる水は硬くてしつこい味がすると言われています。 | 味 |
カルシウム:肥料、さらし粉 マグネシウム:合金、電池 |
18 | マンガン及びその化合物 | 0.01mg/L以下 |
地質に起因しますが、鉱山廃水、工場排水などの混入が原因となることがあります。 マンガンは消毒用の塩素で酸化されることで黒色を呈することがあります。マンガンは、生理的に不可欠の元素で炭水化物の代謝などに関与しています。 |
着色 | 合金、電池、ガラス |
19 | 遊離炭酸 | 20mg/L以下 | 水中に溶けている二酸化炭素のことで、水にさわやかな感覚を与えますが、多いと刺激が強くなり、水道施設の腐食・劣化を促進します。 | 味 | |
20 | 1,1,2-トリクロロエタン | 0.3mg/L以下 | 合成化学物質であり自然界には存在しません。大気中で光化学的酸化により分解されますが、地上の場合は土壌に吸収されず、地下水に移行し、数か月から数年残留し、地下水汚染物質の一つとしてよく知られています。 | 臭気 | 溶剤、脱脂剤 |
21 | メチル-t-ブチルエーテル | 0.02mg/L以下 | ガソリンの漏えいにより水道原水に検出されることがあり、異臭味の原因です。 | ガソリンのオクタン価向上剤 | |
22 |
有機物等 (過マンガン酸カリウム消費量) |
3mg/L以下 |
水中の被酸化物質によって消費される過マンガン酸カリウム量を表すもので、土壌に由来するフミン酸を多く含む場合や水道水源に下水や工場排水が混入した場合に増加します。 第一鉄イオン、亜硫酸イオン、硫化物などの無機物も過マンガン酸カリウムを消費します。水道水に多く含むと渋みをつけます。 |
味 | |
23 |
臭気強度(TON) |
3以下 | 水の臭気は、プランクトン、鉄バクテリア、放線菌等生物の繁殖、工場排水、下水の混入、地質等のほか、水道水の塩素処理に起因します。また、水道水で使用されている管の内面塗装等に由来します。 | 臭気 | |
24 | 蒸発残留物 |
30mg/L以上 200mg/L以下 |
水の中に浮遊、溶解して含まれている物質の総量をmg/Lで表したものです。 水道水の蒸発残留物の主成分はいわゆるミネラル、カルシウム、マグネシウム、ケイ酸、ナトリウム、カリウムなどです。残留物が多いと苦味、渋みなどを付け、適当に含まれるとまろやかさを出します。 |
味 | |
25 | 濁度 | 1度以下 |
水の濁りの程度を表しています。水道水において原水濁度は浄水処理に大きな影響を与え、浄水管理上の指標となります。また、給水栓中の濁りは、給配水施設や管の異常を示すものとして重要です。0.5μm径から10μm径のポリスチレン粒子の懸濁液を一定比率で混合したものを標準として、濁りの程度を表しています。 |
基礎的性状 | |
26 | pH値 | 7.5程度 | pHは、0~14の数値で表され、pH7は中性、7から小さくなるほど酸性が強く、7より大きくなるとアルカリ性が強くなります。地下水は遊離炭酸を多く含んでおり、pH6前後になることがあります。 | 腐食 | |
27 |
腐食性 (ランゲリア指数) |
-1程度以上とし、 極力0に近づける |
水が金属などを腐食させる程度を判断する指標で、負の値で表され、絶対値が大きいほど金属の腐食傾向は大きくなります。 | ||
28 | 従属栄養細菌 | 1mLの検水で形成される集落数が2000以下(暫定) | 本質的な水中の細菌数を表し、水道施設の清浄度の劣化を端的に表現する指標です。 | 水道施設の健全性の指標 | |
29 | 1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 合成化学物質であり、自然界に存在しません。大気中で光化学的酸化により分解されますが、地上の場合は土壌に吸収されず、地下水に移行し、数か月から数年残留し、地下水の汚濁物質の一つとしてよく知られています。 | 一般有機物 | 家庭用ラップ、食品包装用フィルム |
30 | アルミニウム | 0.1mg/L以下 |
地球上に広く分布し、土壌中に含有している金属元素で、自然水中にも含まれますが、溶解度が小さいので、アルミニウムの量は少なく、鉱山廃水、工場排水、温泉水等の混入により検出されます。 水道水においては、アルミニウム系凝集剤を使用する場合、凝集不良等により、水道水中に含まれることがあります。高濃度に含まれると白濁の原因になります。 |
着色 | アルマイト製品、電線、ダイカスト、印刷インク |