公開日 2020年06月29日
好き嫌いが多い、遊び食べをするなど、幼児期の食事は困ったことがいっぱい!
大変な時期ですが、まずは楽しく食事をすることが大切です。
◆好き嫌い
2~3歳頃から好き嫌いが多くなるのは、次第に味覚が発達するとともに子どもの自我が確立し、意思表示がはっきりできるようになるためだと考えられています。「嫌い」と決めつけることなく、しばらくしてさりげなく出すなど、おおらかに対応していきましょう。
《思いあたることはありませんか?》
・食べやすく調理していますか?
・「嫌い」と言えば、好きなものばかり出していませんか?
・「この子はこれが嫌い」と決めつけてはいませんか?
・食事の時間にはお腹がすいていますか?
・家族に偏食の人はいませんか?
《見直しポイント》
①子どもが食べやすく、切り方やかたさ、味付けなどを工夫しましょう。
②彩りよいメニューをとり入れましょう。
③苦手な食品は、好きな食品に混ぜるなどして、徐々に慣れるようにしていきましょう。
④お手伝いや買い物などの経験を通じて、食べ物に興味を持たせましょう。
⑤生活のリズムを見直し、空腹感と満腹感のメリハリを感じさせてあげましょう。
⑥大人が何でもおいしそうに食べることで、食べることの楽しさを伝えましょう。
◆少食・ムラ食い
1回の量は少なめでも1日でみるとバランスがとれているようなら大丈夫。 少量を盛り付けて、「全部食べられた!」という達成感を持たせてあげましょう。
《思いあたることはありませんか?》
・生活リズムは乱れていませんか?
・食事や間食の(量)は決まっていますか?
・牛乳やジュースなどの飲む量が多くありませんか?
・子どもにとっての適量が多くないですか?
《見直しポイント》
①食事に集中しているときは、子どもの食べるペースを大切に!
②量ではなく質に気をつけましょう。
③切り方や盛り付けなどで、子どもの喜ぶ料理の工夫を。
④おやつは食事のあとで、内容にも気をつけましょう。
⑤生活リズムを見直し、空腹感と満腹感のメリハリを感じさせてあげましょう。
⑥からだを動かす遊びをしましょう。
◆遊び食べ・時間がかかる
「遊ぶこと」と「食事をすること」の区別をつけるためにも、食事をするときはテレビを消して、大人もできるだけ立ち歩いたりしないで、落ち着いて食べられる環境を作りましょう。上手に噛んで食べられるように励ましたり、褒めたりしながら見守りましょう。
《思いあたることはありませんか?》
・テレビがついていたり、視界におもちゃなど気になるものが入っていませんか?
・ダラダラと食べさせたり、追いかけて食べさせたりしていませんか?
・食事の前に何か食べたり、牛乳やジュースなど飲んでいませんか?
・テーブルと椅子の高さが合っていますか?
《見直しポイント》
①テレビを消して、おもちゃを片付けるなど食事に集中できるようにしましょう。
②ダラダラと食べさせたり、追いかけて食べさせたりすることはやめましょう。
一回の食事時間は20~30分を目安にして、片付けましょう。
③空腹感を持って食事の時間を迎えられるように工夫しましょう。
④足がブラブラしていると姿勢が安定せずしっかりかむことができないため、食事に集中できません。
足の下に台を置くなどして、 ふらつかないようにしましょう。
◆かんで食べていない
かむ力は乳歯の奥歯が生えそろう3歳過ぎくらいまでの間に徐々に身についてくるので、それまでは食べ物のかたさや形に工夫が必要です。
1~2歳代の子どもには、「カミカミしようね」など声をかけると同時に、大人が同じものを一緒に食べて「こうやってカミカミしようね」と教えていきましょう。
3~5歳になれば、何でも食べられる反面、野菜など繊維があるものを嫌がる子も出てきます。「よくかむとおいしい味が出てくるよ!」「いい音がするかな?」「ほうれん草は体を丈夫にするよ」「お肉はどんな味がするかな」など、食に対する関心を深めながら“かむこと”を促していきましょう。
《よくかんで食べることのメリット》
・食べ物の味が感じられる。
・唾液がたくさん出て消化がよくなる。
・だ液の中和作用で虫歯ができにくくなる
*だ液は飲食で酸性に傾いた口の中の状態を中和して、食べかすを洗い流す働きがある。
・食べすぎを防ぐ。(満腹感を感じる)
・脳の働きが活性化される。
・あごの成長を促し、歯並びがよくなる。
《見直しポイント》
① 乳歯の生え方に合わせて食べやすい調理法、大きさを工夫しましょう。
・大人よりやわらかめに。(やわらかすぎも噛めません)
・歯ごたえのある食品も取り入れましょう。(切り干し大根・ひじき・しらす干し、ごぼうなどの根菜類、きのこ類など)
・食品の切り方が小さすぎるのもかむことができません。
② 食習慣を見直してみましょう。
・やわらかすぎたり、あまりかまずに食べられるものばかりにならないようにしましょう。
(シチュー、豆腐料理、コロッケ、ウインナー、ぎょうざ など)
・ごはんにかけて食べることが多くならないようにしましょう。(みそ汁、シチュー、納豆 など)
・かむ力に対して食品が固すぎないように調理する。かめずにそのまま飲み込んでしまいます。 (ステーキ、とんかつ、煮豆 など)
・次々と口に詰め込んだり、せかして与えないように気をつけましょう。
・お茶や水など水分で流し込まないようにしましょう。
③ 食事中の姿勢を見直してみましょう。足がつく椅子は踏ん張ることで体が安定して姿勢が良くなり、食事に集中できます。
また、ブラブラしている状態に比べてかむ力も強くなります。
◆食べ過ぎる
3歳以降は不規則な生活習慣、運動不足や食習慣から肥満につながることがあります。子どもは脳の満腹中枢が未発達のため食べすぎてしまうこともあります。「お腹いっぱいになったね」などと言葉で伝えることで満腹という言葉の意味と感覚を耳と身体で覚えていきます。
まずは食べる量や食べすぎが気になったら、母子健康手帳の乳幼児身体発育曲線をチェックして増減の変化を見ることが大切です。
《思いあたることはありませんか?》
・味付けが濃い、油っこい料理が多くないですか?
・外食が多くないですか?
・大皿盛りが多くないですか?
・市販のお菓子を袋ごと食べたり、甘い飲み物をよく飲んでいませんか?
・夕食後におやつを食べることがよくありますか?
・食事の時間が不規則なことが多いですか?
・テレビを見ながら食事をすることが多いですか?
《見直しポイント》
①量よりも栄養のバランスを考える
丼物ひとつで野菜が少なく、汁ものもない、ということはありませんか?まずは主食(パ ン・ごはん・麺)と主菜(肉・魚・大豆・卵)、副菜(野菜・きのこ・いも・海藻)の3つを組み合わせる よう心がけましょう。
また、食前に菓子や菓子パン、ジュ ースなどを食べるとそれだけでカロリーオーバーになってしまいます。その上、ごはんを食べることで食べすぎになってしまうため、食前や食後のおやつは控えましょう。 食事の量が少しくらい多くても栄養バランスがとれていればそれほど心配ありません。
②カミカミできる食材・料理で早食い防止
あまりかまなくてもよい献立は早食いになりやすく、満腹感を感じる前にたくさん食べてしまいます。 (例えば、かつ丼、親子丼などのどんぶり物や卵かけごはん、納豆、お茶漬け、とろみのあるカレーライスやシチュー、麺類など)。
一品だけにせず、副菜をつけるなどの工夫を。具材を大きくしてかむ 回数を増やしたり、よくかんで食べられるような食材を取り入れましょう。(豆類、えび、いか、かたまり肉、こんにゃく、きのこ、ブロッコリー、れんこん、ごぼう など)
③油脂の使用を控える
蒸す・煮る、網焼きにするなどして、なるべく油脂を使わない調理法を工夫しましょう。また、マヨネ ーズなどの調味料も控えめに。
④おかわりで満足感を
1回で食べる量からあらかじめおかわり分をとっておき、同じ量でも「おかわりできた!」という満足 感や喜びを感じさせてあげましょう。